Saturday, July 26, 2014

さぁパワートレーニングを始めよう! Part5 FTP計測編②

前回ご紹介したFTPテストはトレーニング強度を決める大切なものです。

ここでテストの方法について補足説明させて頂きます。


(1)ロードについて
①コース選びについて
事故を避けるのはもちろん、クルマや人とすれ違う為にパワーを抜かなければならないような場所はテストに不向きです。出来るだけ人や車が通る可能性の低い場所を選びましょう。

②環境について
同じ手順でテストを行っても、計測する環境によって多少FTP値に差が出ます。個人差はありますが、おおむね 登り>平坦>ローラーの順で登りが一番値は高くなります。これにはペダル1回転の間に負荷がかかる時間や動員される筋肉、気温などが影響しています。繰り返し同じ環境でテスト出来る場所を選びましょう。






(2)体調・集中力について
既にテストを行ったことのある方なら経験があるかと思いますが、テスト後に必ず「あと数ワットは行けた。」と思うものです。

限界まで追い込めるように数日前から体調を整えベストスコアを叩き出しましょう!

また繰り返しになりますが、集中力を高める為にもロード選びは慎重に。
人・車以外にも、あまり自転車が多い所もお勧めしません。
限界までプッシュしている時に、他のライダーに悠然と追い抜かれたら集中力が切れてしまいます。
また自分が追い越す場合でも、後ろにつかれると思わずペースが乱されてしまうものです。静かに集中できるところが一番です。チームで計測を行う場合は時差発走が良いでしょう。

また計測中はヘッドユニットに気を取られず、しっかりと前を向いて走りに集中しましょう。人が来ないはずのロードでも、動物が横切る可能性だってあります!(事実、アメリカではよく鹿やウサギ、時にはクマが道を横断します。日本でも可能性はあるでしょう。)







(3)ペダリングについて
「最も美しいペダリングが最もパワーの出るペダリングです。」
スムーズで美しいペダリングは、効率が良く高出力を維持できるものです。
パワーを高く表示させるため、力んだり、ギクシャクと踏み込むペダリングをすれば一瞬表示は高く出ますが、決して長続きしません。特にパワーメーター初心者は意識してスムーズなペダリングを行ってください。

(4)記録単位について
必ず記録単位は1秒ごとにして下さい。これは今後トレーニングデータを収集する時も同じです。1秒を超える単位でのデータ収集は解析には不向きです。

(5)ヘッドユニットの画面設定について
画面設定を変更できる場合は、やる気をかき立てられるように、デザインしてみましょう。ここではGarminEDGE510(英語版)を例にとってご説明します。

(クリックすると拡大されます。)
画面設定の目的…ひとつの画面に必要な全ての情報を表示させ、テスト中はヘッドユニットを操作する必要が無いようにします。
重要な情報を見やすい位置に配置し、走りに集中できるようにします。

・現在のパワーをトップに置き、その下に平均パワーを表示し対比できるようにします。

・30秒の平均 30秒の平均を表示させ現在の傾向(過去30秒平均パワーを上げているのか下げているのか?)を確認できるようにします。

・ラップタイム 残り時間が分かるように表示させます。

・ハートレート 心拍数をタコメーターとして使う為に表示させます。

・ケイデンス リズムを一定に保つために表示させます。

・ハートレートやケイデンスをNP(ノーマライズドパワー)、距離、スピードなどに置き換えるのも有効です。自分なりにデザインしてみましょう。


(6)キャリブレーション(校正)の手順について
ここでもGarmin EDGE 510(英語版)とパワータップG3を例にとってご説明します。他のヘッドユニットも概ね方法は同じです。各メーカーの手順に沿って行いましょう。

・ホイールを回転させパワーメーターを起動する。

・無負荷の状態にする。(ペダルに足を載せないで壁などに立て掛ける。)


・ヘッドユニット(今回はEDGE510)を起動する。


・画面中央を押してメニューバーを表示させツールアイコンを押す。

 ・Bike Profilesを選択する。










・使用しているBikeを選択する。











・パワーメーターのアイコンを押す。












・Calibrateを押す。











・Calibrateを押す。












・完了!











(7)測定する場所がない場合
計測する場所が確保できない場合は、下記の方法を試します。
またテスト環境がある場合でも、下記のデータと見比べてFTP値の精度を確かめるのも良い方法です。テストの回数が多いほど、またデータは多ければ多いほど精度はあがります。

FTPテスト代替案
・長いTT(40km程度)のパワーデータ
・60分のクリテリム・ロード・TTなどレースデータのNP(ノーマライズドパワー)
・2 x 20分の限界走の平均値
・30分のTT(練習)
・パワー分析
・20分のTTの91% (事前の5分走を行わない。)


(8)どれを採用すればよいの?
前回ご紹介したハンター・アレンのFTPテストと上記6つのテストの結果は、近いものの完全には一致しません。また20分テストで3%を除くか5%を除くのかも悩ましい所です。
あるFTPテストの結果は300wであり、あるテストの結果は290wかもしれません。では一体どれが正解で、どの数値を採用すれば良いのでしょうか?
答えは全て正解です。どれを採用しても良いのです。

FTP=1時間の最大平均パワー

これが唯一のFTPの定義です。その他の方法は、このFTPを類推する為の手段です。ですから複数のテストを試し、1時間の全力疾走の平均値に一番近くなる方法を採用すれば良いのです。
FTPは日々の体調によって変わります。ですからテストでは1wattでも数値を上げるように努力することが大切ですが、日々のトレーニングはゾーンで把握する事も必要です。

ある時は1wattでも出力を上げる努力を。そしてある時は大まかなゾーンでワット管理を行うフレキシブルさが必要なのです。

「数値に操られるのではなく、操ろう!」これがパワートレーニングの基本です。


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ではロードでお会いましょう!



Peaks Coaching Group
ハンターアレン、中田尚志(共著)

ハンター・アレン…全米自転車競技連盟Level1認証コーチ。元プロ・ロード選手。1995年よりあらゆる種目のコーチングを手掛け世界チャンピオン、全米チャンピオンを始め1,000以上の勝利に貢献している。全米自転車競技連盟パワートレーニング講座の講師。
パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)他、著書多数。











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