週末は日本各地で沢山のレースが開催されました。
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シマノ鈴鹿のチームタイムトライアルに出た選手もいらっしゃるかと思います。TTTは自転車競技に必要なスピード・ペース配分・チームワークの要素が詰まっている種目です。
鈴鹿サーキットは、適度なアップダウンがあるためにスピードの変化があり、ペース配分・チームワークを試されます。
チームTTのパワーデータを見て行きましょう。
個人TTとチームTTの違い
コチラはツール・ド・フランスの個人TTとチームTTのデータです。
・個人TT・・・FTPの勝負
登り下りに関わらず、FTP前後にパワー(黄色)は集中しています。
個人TTではFTPの高さがタイムに大きく影響します。言い換えればどれだけ有酸素能力の上限が高いかにタイムは依存します。
・チームTT・・・AC/VO2Maxの勝負
こちらはチームTTのデータです。先頭交代により激しくパワーは上下し、FTPを大きく超えるAC(無酸素性作業域・・・121-150% of FTP)、VO2Max(106-120% of FTP)が多く出現します。 個人TTより高いスピード域で行われるチームTTは、FTPよりも高い領域での出力そして回復力が問われます。またそれらを支える高いFTPも必須です。
パワーゾーン
上記のデータをパワーゾーン毎に分けてみましょう。
・個人TT・・・運動時間の50%はFTP領域です。ここからもいかにFTPの高さが個人TTに重要かが分かります。
・チームTT・・・運動時間の38%もの時間をACで過ごしています(!)
ケイデンス
ケイデンスは一般的に個人TTの方が低くチームTTの方が高くなります。
・個人TT・・・ケイデンス100-105rpm 34.6%
・チームTT・・・ケイデンス95-100rpm 28.6%
鈴鹿チームTT
では鈴鹿を走ったアマチュア選手のデータを見て行きましょう。
レース時間・距離・コース・選手数(鈴鹿は4人)によって変動があるので、一概にTDFと比較は出来ませんが、AC領域で27.8%、ケイデンス95-100rpmで29.5%は充分な頑張りと適切なケイデンスだったと言えます。
更にラップとパワーを見て行きましょう。
平均ペースで回るとすると8:25のラップを刻めば良いことになります。
実際のラップと8:25秒に対する差
1st 7:52 -37sec
2nd 8:35 +10sec
3rd 8:40 +15sec
4th 8:34 +9sec
1周目はゼロ発進にも関わらずハイペースを維持し37秒を稼ぎ出していますが、2周目以降は貯金を失っているのがタイムから分かります。
ではここにパワーを追加して見てみましょう。
3周目、この選手はAVGパワーを大きく落とした割にラップは落ちていません。
これは引けなくなって後ろに回りがちだったことを表わしています。
こうなると他の3選手の負担は増えていますから、4周目にペースを維持するもしくは上げるのは難しくなります。
これらから1周目はチーム全体でもう少しペースを抑え、3周目に全員がしっかり引けるように持って行った方がタイム短縮できる可能性が増えることが分かります。
具体的には1周目は8:25を設定タイムに使い、少なくとも2周目完了地点まではNPはFTPの107%程度あたりを狙った方が良いでしょう。
3周目・4周目以降は8:25を切れるようにペースを上げて行きます。(この時はパワーメーターは気にせず、感覚に従いながら限界に挑戦した方が上手く行きます。)
このようにレース後、タイムとパワーの関係を見直すことで、次回のレース戦略を練ることは大切です。
またトレーニング時はコースを似せることでパワーゾーンの分布、ケイデンスをシュミレーションしておくことも大切です。
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パワー・トレーニング・バイブル(原書:Training and racing with Power Meter)の著者、ハンター・アレン(Hunter Allen)氏のもとでパワートレーニングを中心にコーチングを学ぶ。
25年に及ぶ日本・アメリカでのレース経験を持つ現役選手。バージニア州ベッドフォード在住。現在でも週末はPro/1/2レベルおよびマスターズでレースに参加している。2013 全米自転車競技連盟主催パワートレーニングセミナー修了
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